18才までの子どもがかける電話 / チャット
子どもたちはすべての人を信頼して生まれてきます。
しかし大人は、時として子どもたちの心や身体や魂を傷つけることがあります。
また、子どもたち同士の間でもさまざまなことが起こります。
グループや学校や社会からもさまざまな影響を受けます。
嬉しいこと、腹立たしいこと、悲しいこと、誇らしいこと、辛いこと、悔しいこと・・・
子どもたちは、自分の体験していることや心の中に起こっていることを、
誰かと話し合うことによって自分の成長の栄養にしていくのですが、
私たち大人は、子どもたちの声に耳を傾けているでしょうか。
子どもたちの心を聴き、ともに歩み、対話をしているでしょうか。
チャイルドラインは、電話やチャットなどを通して子どもたちの声に耳を傾け、子どもたちの心や魂に寄り添い、子どもたちの人権を守り育む社会を創ることに取り組む活動です。
4つの約束
かけてきた子どもたちが安心して話せるように「4つの約束」を決めました。
なぜなら、人は安心できる場所でしか本当の気持ちは話せないから・・・。
日本のおとなたちは長い間、子どもたちの人権をたいせつにしてきませんでした。つい大人の知恵を使ったり、意見したり、説教したり・・・。子どもの都合も気持ちも考えないで子どものためと思い行動してしまっていました。良かれと思ってしてきたことが、実は子どもたちを苦しめていたのかもしれません。
“あなたも私もたいせつな存在”
チャイルドラインは子ども一人ひとりの人権を尊重し、安心して自分の気持ちを話せる場でありたいと願っています。そのことを忘れないように4つの約束を決めました。
チャイルドラインのあゆみ
日本における「チャイルドライン」の歩み
1997 年
東京都世田谷区の市民団体が、当時の文部大臣らと共に英国チャイルドラインを視察
英国チャイルドラインより 2 名が文部省主催国際シンポジウムに招聘される
東京・宮城・石川・三重の団体が英国チャイルドラインより2名を招聘し、全国4カ所でチャイルドラインセミナーを開催
国会で超党派による「チャイルドライン設立推進議員連盟」設立
1998 年
「せたがやチャイルドライン」開設(24 時間2週間)日本で最初の「チャイルドライン」
1999 年
NHK 教育テレビ40周年記念番組「NHK チャイルドライン」実施(13 時間 1919 件)
チャイルドライン支援センター設立
カナダ子どもNPO視察ツアーに参加(キッズヘルプフォン・ヘイライン視察)
「チャイルドライン開設のためのセミナー」開催(全国から80名参加)
2009 年
全国統一番号フリーダイヤル運用開始(月曜~土曜日 16:00 ~ 21:00)
2018 年
全国統一番号フリーダイヤル毎日実施(16:00 ~ 21:00)
2019 年
オンラインチャット相談運用開始 (木曜 金曜 第 3 土曜 16:00 ~ 21:00)
1970 年代、北欧で子どものためのホットラインの活動が始まりました。活動は世界各地に広がっていき、1986 年には虐待が社会問題となっていたイギリスでチャイルドライン(ChildLine UK)が開設されました。
日本で子どものいじめや自殺が社会問題となり始めた1997 年、子どもの問題に取り組む世田谷区の市民団体が当時の文部大臣と共にチャイルドラインを視察したのち、全国でチャイルドライン設置の機運が高まりました。
1998 年に日本最初のチャイルドラインとして「せたがやチャイルドライン」が 2 週間の期間限定で実施され、1999 年、チャイルドラインの活動を全国に広めていくため「チャイルドライン支援センター」が設立されました。
現在では 39 都道府県で 68 団体(開設準備中 2 団体)がチャイルドラインの活動をしています。
世界の子どものためのホットライン実施団体をつないでいるのは、チャイルド・ヘルプライン・インターナショナル※ です。
各国の事情により、子どもたちに提供されるサービスは様々ですが、子どもの権利条約に基づき運営されています。
現在、日本の「チャイルドライン」は、電話 と オンラインチャット というツールによって「子どもの声」を聴く「子どものこころの居場所」としての存在となっています。
※チャイルド・ ヘルプライン・インターナショナル Child Helpline International について
2003 年設立 略称:CHI 本部:オランダ・アムステルダム
現在 140 の国や地域で活動している 167 団体がメンバーとなっている。
チャイルドラインにおける『子どもの権利条約』の意味
1989 年 11 月の国連総会で採択された子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)は、現在、アメリカ合衆国を除く世界中 196 の国と地域が批准しています。
日本は 1994 年、世界で 158 番目に批准しました。(またその後、条約を補完するためにつくられた選択議定書のうち 2 つにも日本は批准しています。)
子どもの権利条約は全 54 条で成り立っていますが、その中に一般原則とよばれるものがあります。
それは、 差別の禁止(第2条)、
子どもの最善の利益(第3条)、
生きる権利・育つ権利(第6条)、
意見を表す権利(第 12 条)
の4つです。
これらの原則を前提に、どれか一つではなく、全 54 条(約 40 の権利)すべての権利がバランスよく守られてはじめて、子どもたちは、豊かな「子ども時代」を保障され、自分らしく生き生きと生きていくことができるのです。
①子どもの定義
②差別の禁止
③子どもの最善の利益
④国の義務
⑤親の指導を尊重
⑥生きる権利・育つ権利
⑦名前・国籍をもつ権利
⑧名前・国籍・家族関係を守る
⑨親と引き離されない権利
⑩別々の国にいる親と会える権利
⑪よその国に連れ去られない権利
⑫意見を表す権利
⑬表現の自由
⑭思想良心宗教の自由
⑮結社・集会の自由
⑯プライバシー・名誉は守られる
⑰適切な情報の入手
⑱子どもの教育はまず親に責任
⑲暴力からの保護
⑳家庭を奪われた子どもの保護
㉑養子縁組
㉒難民の子ども
㉓障がいのある子ども
㉔健康・医療への権利
㉕施設に入っている子ども
㉖社会保障を受ける権利
㉗生活水準の権利
㉘教育を受ける権利
㉙教育の目的
㉚少数民族・先住民の子ども
㉛休み、遊ぶ権利
㉜経済的搾取・有害な労働からの保護
㉝麻薬・覚せい剤などからの保護
㉞性的搾取からの保護
㉟誘拐・売買からの保護
㊱あらゆる搾取からの保護
㊲拷問・死刑の禁止
㊳戦争からの保護
㊴被害にあった子どもを守る
㊵子どもに関する司法
㊶子どもにとってもっともよい法律
㊷条約の広報
㊸~条約のしくみ
(日本ユニセフ協会 HPより)+選択議定書(売買・武力紛争)
子どもの権利が保障されてきた歴史の中で、最も大切なことは、「参加の権利」です。
第3 条 子どもの最善の利益にも謳われているように、おとなにとってではなく、子どもにとって最も良いことを保障していくためには、子ども自身の意思や気持が最も大切にされなければなりません。
「子ども主体」であることが大前提となるのです。
この日本社会の中で子どもの存在は、この社会を構成する一員であるとはお世辞にも言いがたい状況にあります。
自分よりも他者から求められる自分を演じることで自己肯定感を持てないでいる日本の子どもたちの状況から、チャイルドラインは、ミッションに謳われているように、子どもの声を否定せず受容、傾聴することで、子どもがありのままで安心できる心の居場所をつくります。
こうしたおとなや社会の姿勢は、子どもたちへの「あなたは大切な存在なんだ」というメッセージです。
子ども自身が、人生をつくる主体であることを保障するのです。
また、子ども自身に関わる事柄への子どもの意思や意見の反映にとどまらず、更に、社会に対する子どもの意見表明を保障する仕組みであり、社会のパートナーである子どもの声から、おとなや社会を問い続けなければなりません。
おとなでは実現できなかった「新しい社会」を子どもたちと共に、つくっていきましょう。
まさに、チャイルドラインは、子どもの代弁者となることが求められるのです。