「徒然草」と「子どもの貧困」
突然ですが、勉強に取り組むときに大切なことは?何だと思いますか?
本人のやる気?根性?
兼好法師は次のように言っています。
————-<原文>—————
「道心あらば、住む所にしもよらじ。家にあり、人に交はるとも、後世を願はんに難かるべきかは」と言ふは、さらに、後世知らぬ人なり。げには、この世をはかなみ、必ず、生死を出でんと思はんに、何の興ありてか、朝夕君に仕へ、家を願みる営みのいさましからん。心は縁にひかれて移るものなれば、閑かならでは、道は行じ難し。徒然草 第58段
————<現代語訳>————-
「仏道を学ぼうとする心があれば、住む所にこだわらず修行はできる。家にいても、人と交わっていても、来世の極楽浄土を願うことに何の障害があるだろうか」と言うのは、全然、来世とは何かを知らない人である。本当に、この世俗を儚んで、生死の執着を離れようとしているのに、何の意味があって、主人に仕えたり、家事に打ち込んでいたりするのか。人の心は他者との縁に引きずられて移ろうものだから、人とできるだけ交わらない静かな心境でなければ、修行に打ち込むのは難しい。
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つまり、兼好法師は何かに打ち込むときには、
「環境を整えることがなによりも大切」だと言っています。
そう言えば学生のころ自分の部屋で勉強するとき、
机の隣にマンガがあるとついつい読んでしまいました。
そんな時は、マンガを段ボールに片付けたり、
図書館へ行くなど勉強ができる環境をつくっていました。
もちろん、本人のやる気もとても大切です。
しかし、気合い、根性だけで勉強ができるようになるわけではありません。
やはり、勉強ができる環境を整えることが大切だと私も思います。
でも、例えば親が経済的に困窮しているとき、
子どを塾へ通わせたり、勉強道具をそろえるなど
「勉強ができる環境を整えること」が難しい場合もあります。
経済的な困窮、貧困は外国の話でも、昔の話でもありません。
現在の日本で大きな問題になっています。
日本の子どもの相対的貧困率は約16%、約6人にひとりが貧困です。
1985年の10.9%から年々上昇しています。
相対的ですので、他の人と比べて貧しいということです。
それは、「みんな塾へに行ってるけど、自分だけが行けない…」
「みんな新しい文房具持ってるけと、自分だけ古い…」
「自分だけが、みんなと違うのかな…」
こういった気持ちひとり抱えて、孤独を感じる子どもが
増えてきているのではないかと私は思います。
チャイルドライン活動を行うことで、いじめが減った、自殺者が減った。
など、数字に表れる効果はすぐにはわかりません。
しかし、「ひとりじやない。」
そう子どもたちに伝えることで、孤独がやわらぎ
子どもにとって少しでも生きやすい世の中になるのではないか。
そう想いながら、活動しています。
(書き手:DAI)