豊岡市「ジェンダーギャップ解消戦略」の冒頭の言葉より
こんにちは! きくお[B]です。
最近、こんな本を読みました。
「なぜ豊岡は世界に注目されるのか」 (集英社新書)
兵庫県の北部に豊岡市というまちがあります。
「ん?豊岡?どこ?」という方もあるかも知れませんが「城崎」という温泉地は知っておられるでしょう。
その城崎があるのが豊岡です。
これはその豊岡市の元市長の中貝宗治さんの書かれた本。
豊岡という地域で中貝さんたちが取り組んでこられたことそのものが沢山描かれています。
- コウノトリも住めるまちを創る(コウノトリの野生復帰)
- 城崎温泉など 受け継いできた大事なものを守り、育てる
- 深さを持った演劇のまちづくり
豊岡演劇祭 など - ジェンダーギャップの解消
これらの取り組みの苦労・工夫、かかわった人々の思い、その流れなどが綴られています。
この取り組みのそれぞれが本当に人間の体温、臭い、エネルギーが感じられ、とても興味深く、それぞれをひとつずつ紹介したくなるところなんですが・・・
その中でも私の心に大きく留まったところをここで紹介させてもらいます。
それは
「ジェンダーギャップの解消」に取り組むため、2021年3月に作った
『豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略』の中の冒頭部分の言葉の一部です。
まずは読んでみて下さい。
気がつくと、若い女性たちが、まちからすーっといなくなっていました。
(中略)
女性が女性であるというだけで、補助的役割のみに甘んじ、能力を磨き、発揮する機会もないとすると、企業にとっても、地域経済にとっても、地域社会にとっても大きな損失です。
ことは単に、理念だけの問題ではありません。
ジェンダーギャップ(社会的文化的に築き上げられた男女格差)の解消は、まちの存続にかかわる極めてリアルな問題でもあります。
私たちのまちが、女性に対し、女性であるということだけで様々なものの断念 を迫ってきたのだとすると、それは、公正さ(フェアネス)と「いのちへの共感」に欠ける状 態と言わざるをえません。
「共感」とは、他者への想像力のことを言います。
「いのちへの共感」は、他のいのちへの 想像力であり、相手の立場に立ったとき、世界がどのように見えているかに思いを寄せる能 力のことを言います。
女性の立場に立ったとき、世界は不公平な壁だらけに見えているかもしれません。
ジェンダーギャップの解消は、女性も男性と同様、社会的・経済的な夢を持ち、悔いのな い人生を送りたいと願う生身の人間であるという前提に立って、互いに尊重し、支え合う社 会を築き上げようとする、未来に向けた取組みです・・・・
いかがですか??
背筋がしゃんとするような素敵な言葉たちでしょ。
お役所の出したものとは思えない(笑)くらい。
で、私この文章を読んで、そして噛みしめていてハタと思ったんです。
「これ、ジェンダーギャップについての文面だけど『人権』って視点で考えると何にでも使えるじゃん」と。(そのままじゃだめだけど)
…私たちのまちが、女性に対し、女性であるということだけで様々なものの断念 を迫ってきた・・・
のところで言えば「女性」の部分を「障害者」や色んなマイノリティの人たちに当てはめてみても成り立つ文章です。
いや、マイノリティどころか誰もが通過する 「子ども」 に当てはめてもいける。
そう、子どもも主体者。 主権者。
これは「人権」のことだから。
残念ながら現在、
“公正さ(フェアネス)と「いのちへの共感」に欠ける状 態” に暮らしている私たちの世界。
問題は一筋縄ではいかないけれど
まずは「他のいのちへの 想像力」を豊かに持って歩んでいかなくては
そんなことをしみじみ考えさせてもらった本だったので…
ちょっと紹介させてもらいました。