心の中と違うことを言ってしまうのはなぜですか?

こんにちは、きくお[B]です。
以前にも紹介した私の大好きな「子ども科学電話相談」

いつもニコニコしながらこのラジオ番組を楽しませてもらってるんですが・・・
またまた素敵な子ども、そして先生にラジオで出会ったので紹介させてもらいますね。
それは・・・

心の中と違うことを言ってしまうのはなぜですか? です。

――どんな質問ですか?


この「問い」を考えた もりしょうまくん、すごい!!

心の中と違うことを言ってしまったという自分に気付いたこと。
それを何故かと考え、質問にしようと思ったこと。

そして

この問いに答えて下さった大日向雅美先生もとっても素敵。

小学一年生の彼を尊重し、難しい言葉も少し出たけどそれも本人に確認ながら。

ゆっくり、ゆっくり。 
そして大人でもやってしまいがちな具体的なたとえ話を交えて。

こんな風に話せる大人でありたいなとしみじみ思いました。

あなたも是非、味わってみて下さい。

文字で読む方はこちらの「読むらじる」

(リンクが切れてしまいましたので内容は最後に転載させてもらいました。そちらをご覧下さい)

この彼、小学一年生なんだって。

自分が一年生の時にはもっとぼぉ~っとしてたよなぁ・・・

しょうまくんの「気づく力」。
小日向先生の相手を尊重しながら寄り添う姿勢。
どちらも人としてずっと大事にし続けないといけない力だなぁ…と考えながらのラジオの時間を過ごした きくお[B]でした。

  

心の中と違うことを言ってしまうのはなぜですか?

もりしょうまくん(小学1年生・千葉県)からの質問に、「心と体」の大日向雅美先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
大日向先生:大日向雅美先生(恵泉女学園大学学長)
しょうまくん:質問者


――お名前を教えてください。

しょうまくん:
しょうまです。

――どんな質問ですか?

しょうまくん:
イライラした顔で宿題をしているとき、家族に「嫌ならやめていいよ」と言われましたが、僕は「やりたいんだよ」と答えてしまいました。心の中と違うことを言ってしまうのはなぜですか?

――あぁ! しょうまくんは、本当はやりたくないなって思ってたの?

しょうまくん:
はい。

――それで、心の中と違うことを言ってしまったのはなんでだろう、と。これはねぇ、ここにいる先生たちも、うなずいています。では「心と体」の大日向先生、お願いします。

大日向先生:
はい。しょうまさん、おはようございます。

しょうまくん:
おはようございます。

大日向先生:
そう、本当の気持ちと反対のこと、言ってしまったのね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
これは実は、誰でも経験していることなんです。だからここにいる先生方も笑ってらっしゃるんだけど、大人も時々やります。私もこの間やりました。あるプレゼントをいただいたのね。「あぁ、うれしい。ありがとうございます。大好きなの」って、言っちゃったの。本当はそんなに好きじゃなかった(笑)。そばにいた人から「大日向さん、それ好きだったの?」とあとで突っ込まれてしまったんだけど、不思議ですね。
しょうまさんが気づいてくださったことって、心を考えるとき、とっても大切なこと。大切なことに気づいたんだなと思うんです。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
まず、しょうまさんの経験したことから考えてみたいと思うんだけど、「僕、お勉強したくないの。宿題をやめて遊びます」って、本当のことを言わなかったのよね。どうしてかしら。もしそれを言ったら、おうちの人、どんなふうに思うと思った?

しょうまくん:
イライラした感じに思うかなと思いました。

大日向先生:
あぁ、そっか。おうちの人は、しょうまさんが宿題していていい子だなと思っているのに、「本当は嫌なの」なんて言ったら、イライラしたりがっかりされちゃうんじゃないかなと思ったのね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
これ、とっても大事なことで、私、最初に、私たちは誰でも、子どもだけじゃなくて大人の私たちも、本当の気持ちと逆のことを言ったりすることがよくありますって、言いましたね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
これね、心理学……「心理学」って、わかる?

しょうまくん:
わかりません。

大日向先生:
「心について考える学問」と言ったらいいかな。この心理学では、私たち、いろいろなストレスを感じることがあるでしょう? 「ストレス」はわかるかな?

しょうまくん:
はい、わかります。

大日向先生:
ありがとうございます。ストレスを感じたときに、自分を守るためにいろいろな……これはちょっと難しい言葉ね、「防衛機制」というのが働くの。「防衛」は「守る」ということね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
ストレスってね、嫌なことばかりじゃないの。楽しいこともストレスになるのよ。心と体に圧力が加わることをストレスっていうの。だから、イヤイヤ勉強するときはもちろんストレスだけど、楽しいことがあってこれからちゃんとやろうというのも緊張するでしょう? これもストレスなんです。それはちょっとさておいて、しょうまさんが感じた、嫌なこと・つらいことを、どうやって避けようとするのかを考えましょうね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
嫌なことを「嫌だ」と言ったらどうなるかっていうことを、私たち、考えるの。「お勉強したくありません」と言ったら、おうちの人、がっかりするんじゃないかなって、しょうまさん、考えたでしょう? だから本当のことを言ったとしても、しょうまさんの心は軽くならなかったかもしれないの。そこはわかる?

しょうまくん:
ちょっとわかります。

大日向先生:
はい、ありがとうございます。だから私たちが、嫌なことを嫌と言わないで逆に楽しげに振る舞ってみたりすることがたくさんあるのは、本当のことばっかり言っても楽しくないよということが、わかっているからだと思うんです。そうするとね、本当のことを言わないのにも、よいことがあるかもしれないの。例えば嫌なお友達がいても、「僕、あなた嫌い」って、あんまり言わないでしょう? なぜ?

しょうまくん:
その子の心が傷ついてしまうから?

大日向先生:
そのとおりです。相手を傷つけたくないもんね。
私がプレゼントをいただいて「わぁ、うれしい」と言ったのは、品物よりもそれを選んでくださった方の気持ちがうれしかったからで、「これ、私あんまり好きじゃないんです」なんて言ったら、がっかりさせちゃうじゃない? だから、本当のことを言うことがいつも正しいとは限らない。ここを1つ、覚えておきましょうね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
それから、本当のことを言わないことで、実は気持ちをよい方向に向けることもできるかもしれないの。例えば、しょうまさん、「勉強したいんです」って言ったでしょう? それは親をがっかりさせないだけじゃなくて、「宿題することが大事」って、何となく心の中でわかっていたかもしれないと思うの。

しょうまくん:
はい、わかっていました。

大日向先生:
あっ、すごーい! そうすると、勉強から逃げないで好きになろうかなって思うかもしれないわね。だから、嫌なことをよいことに変えていく力にすることもできるかもしれない。ここまで、いいですか?

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
でもね、いいことばっかりじゃないこともあるの。自分の気持ちをいつもごまかし続けると、最初は疲れちゃうでしょう? しょうまさんも、本当のことを言わなかったからモヤモヤしちゃったのよね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
そんなことばっかりやってたら、いつの間にか自分がわからなくなってしまったり、もしかしたら相手から誤解されちゃうこともあるかもしれないと言われています。だから、本当のことを言うことがいつも正しいとは限らないけども、もう1つ大事なことは、いつも自分をだましてばかりいてはいけないってことね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
この2つ、どうやってバランスよくやっていくか、難しいね。私もこの年になっても難しいと思うんだけど、忘れないでいただきたいことがあるの。それはね、「自分は本当のことを言ってないよ」って、そういうふうに自分で気づくことなんです。「自分が今、言ったことは、本当のことじゃないんだ」って、気づくことなのね。「違うことを言ってしまった」と。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
でもそのときに、さっき、よいことと悪いことを2つはかりにかけて、「本当のことを言わなかったのは相手をがっかりさせないためなんだ」とか、「相手を大事にするためなんだ」とか、「自分のこれからの気持ちをよい方向に変えるためだったんだ」と思ったら、そちらの方向に頑張っていけばいい。だけど、「本当のことを言わないでつらかった」と思ったら、ごまかし続けることをやめることも必要なのね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
しょうまさんは、「周りの人がどう思うかな」っていうふうに考える力がすごくある。だから本当のことを言わなかっただけなんだから、でもそのことに気づいて、こうして質問を寄せてくださったわね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
もう1つ、これ、最後ね。答えが1つじゃないの。いろいろお話ししたけど、しょうまさん、わかったと言ってくださったけど、本当に答えは1つだけじゃないことをこれからたくさん経験すると思うんです。そのときに、考え続けることが一番大事。「本当のことを言わなかったのはなぜかな。よい方向に向けられるかな。いや、疲れちゃうからもうやめようかな……」って、いろいろ考え続けることね。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
そのために大事だと思うのは、体調管理かな。体が元気だと、考え続けることができるじゃない? しょうまさん、すごく元気ね。ハキハキと。

しょうまくん:
はい。

大日向先生:
うん。心を丈夫にするためには、体も丈夫にしておくの。おいしくて好きなものだけじゃなくて、好き嫌いをなくしたり……なんて言いながら私はなかなかできないんだけど、運動もちゃんとして、体を大事にしながら、いろいろなこと考え続けましょうかね。とっても大事なことに気づいていただけたなと思いました。ありがとうございました。

しょうまくん:
ありがとうございました。

――しょうまくん、先生のお話、わかったかな?

しょうまくん:
はい。

――きょうは年末ということで、しょうまくんに1つ聞いてみたいなと思うんですが、いいですか?

しょうまくん:
はい。

――しょうまくんは、2023年はどんな年だったかな? 1年生になったんだもんね。

しょうまくん:
はい。

――どんな年でした?

しょうまくん:
中国の上海に行ってから、飛行機でモンゴルのウランバートルという都市に行って遊牧民のおうちを訪ねました。

――ちょ、ちょっとびっくりしたんですけど、しょうまくんは本来は中国の上海に住んでいるんですね。今は日本に?

しょうまくん:
今は日本にいます。

――おじいちゃんとかおばあちゃんの家にいるのかな?

しょうまくん:
はい。

――そうなんですね。ふだんは中国に住んでいて、ウランバートルにも行ったりしたの?

しょうまくん:
はい。

――わぁ、それはすごい経験だね。中国での生活は慣れましたか?

しょうまくん:
はい。

――楽しく過ごしていますか?

しょうまくん:
はい。楽しく過ごしています。

――大日向先生、ちょっとびっくりしましたけど、頑張っていますね。

大日向先生:
びっくりねぇ。ハキハキとして、上海でもお友達と元気に遊んでらっしゃるのかな?

しょうまくん:
はい。

――日本に帰っているときにこうやって質問をしてくれて、ありがとうございました。先生がおっしゃるように、これからもしっかり食べて元気に、そしていろいろなことを考えて過ごしてくださいね。

しょうまくん:
はい。

――ありがとうございました。

しょうまくん:
ありがとうございました。

大日向先生:
ありがとうございました。

――さようなら。

しょうまくん:
さよなら~。

大日向先生:
はい、さよなら~。


【放送】
2023/12/29 「子ども科学電話相談」

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